2025年10月29日(水)は「世界乾癬デー」です。
慢性疾患である乾癬への理解と支援を広げるため、これまでにも世界各地で啓発イベントやキャンペーンが行われてきました。
世界乾癬デーは乾癬患者の声を社会に届けるため、2004年にIFPA(国際乾癬患者団体連盟)が乾癬患者のための日として毎年10月29日を「世界乾癬デー(World Psoriasis Day)」と定めました。この国際的な啓発イベントは、慢性疾患である乾癬への理解を深め、患者への支援を広げることを目的として毎年実施されています。
以来、医療関係者や支援団体、患者自身による活動が世界規模で展開されています。
2025年のテーマは「乾癬と併存疾患」。キーメッセージは「乾癬は単なる皮膚病ではありません。乾癬性関節炎、心血管疾患、糖尿病、うつなどを併発することがあります」です。
患者が抱える複合的な課題に対する社会的理解を促進し、医療体制や支援のあり方を見直す契機ともなるでしょう。

乾癬とは何か―
乾癬とは、国内の患者数が50万人を超えると推計される難治性の皮膚病です。
皮膚表面に赤い皮疹が生じてかゆみがあり、まるで何層にも重なったパイ生地のように厚いかさぶたに覆われ、触れるとフケのような鱗屑(りんせつ)がパラパラと落ちます。「かんせん」と聞いて「感染」するのではないかと誤解を受けやすいですが、他人にはうつらない非伝染性の疾患です。
乾癬にはいくつかの種類があり、その中で全体の9割ほどを占める一般的なものを尋常性乾癬と呼びます。通常、単に乾癬と略されるものは、尋常性乾癬を指します。
そのほか、全身に赤みが広がった状態を乾癬性紅皮症、ポツポツと赤くて小さい皮疹が体中に現れるものを滴状乾癬、手や足などの関節が腫れて痛みをともなう乾癬性関節炎、赤い皮疹とともに無菌性の膿を持ち、指定難病でもある膿疱性乾癬などがあります。
難治性だけあって処方された薬を塗り続けてもなかなか治らず、「軽快による一時的な安堵感・再発による落胆」を何年、何十年と繰り返します。患者は治らない治療を続けるわけもなく、やがて治療自体の根気が薄れて断念してしまうケースも少なくありません。
人前で肌を露出することができず、鱗屑がフケのように見えるため黒色や紺色の服を着ることもできず、いつでも患部を気にしてしまい、他人とのコミュニケーションも消極的になりがちです。
日常生活にまで支障をきたす乾癬―
これからも、乾癬治療の分野に明るい展望が開けることを心より望んでおります。

オリジナルシャツを販売
日本では乾癬患者の有志による乾癬啓発普及協会「INSPIRE JAPAN WPD」がプロジェクトの中心となり、「世界に繋がろう」を合言葉に2017年に啓発活動を展開。その後、2018年4月に一般社団法人INSPIRE JAPAN WPD乾癬啓発普及協会として新たなスタートを切りました。患者自身が発信する力を重視しながら、社会との架け橋となることを目指しています。
普及協会では今年もオリジナルTシャツを販売し、患者同士に限らず参加者同士が思いを共有できる場が設けられてきました(※Tシャツは9月30日をもちまして申し込み受付が終了しました)。私のXでも、Tシャツに関して以前にリポストさせていただきましたので掲載いたします。
また10月25日(土)、26日(日)には東京タワーにて乾癬啓発イベントが開催されます。
世界乾癬デーをきっかけに、乾癬という病気の正しい理解を広めるだけでなく、患者が孤立せずに安心して暮らせる社会共生の実現に向けた一歩へとつながることを大いに期待しています。疾患の複雑さと個々の生活に寄り添う視点を多くの方に持っていただき、今後の医療と福祉の在り方にも大きな示唆を与えてくれることを願ってやみません。
●INSPIRE JAPAN WPDのHPはこちらです。




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