特定医療費(指定難病)受給者証の交付を受けるには、原則として難病法による「指定難病」と診断され、かつ病状が国の定める「重症度分類」の基準を満たしている必要があります。
ただし、病状が基準を満たさない軽症の方であっても、高額な医療費の負担が継続している場合は「軽症高額」という軽症者の特例基準によって受給者証が交付されます。
受給者証を指定医療機関(病院、薬局、訪問看護ステーションなど)の窓口で提示すれば、認定を受けた指定難病にかかる治療や投薬に限り、自己負担割合の軽減や月額上限の設定範囲内で医療費の助成を受けることができます。
受給者証の交付要件や重症度分類、軽症高額の詳細については下のリンク記事をご参照ください。

これらを踏まえ、すでに受給者証を持っている方が、さらに毎月の負担を軽減できる「高額かつ長期」の助成制度について詳しく見ていきましょう。

毎月の自己負担上限額をさらに軽減できる
「高額かつ長期」とは、すでに指定難病の受給者証を交付されている方を対象に、毎月の自己負担上限額をさらに引き下げる(減額する)措置のことです。
指定難病の治療は長期間におよぶことが多いため、経済的な負担を少しでも減らせるよう、以下のような要件を満たした人に適用されます。
該当する要件(算定基準)
指定難病受給者証の有効期間内において、階層区分が一般所得Ⅰ・Ⅱまたは上位所得(下記の表を参照)の方を対象に、更新申請月を含む過去12ヶ月以内に指定難病の治療にかかった医療費総額(10割分)が5万円を超えた月が「年間6月以上」ある場合に該当します。
💡 ここがポイント:医療費は「10割(総医療費)」で計算します
窓口で実際に支払った金額(自己負担2割なら1万円)ではなく、健康保険が適用される前の「総医療費(10割)」が50,000円を超えているかどうかでカウントします。そのため、毎月お手元の「自己負担実費」が1万円以上(2割負担の場合)になっている月が6回以上あれば、この要件を満たしている可能性があります。
実際にいくら軽減されるのか?
高額かつ長期の措置が適用されると、所得階層に応じて以下のように毎月の自己負担上限額が引き下がります。
| 所得階層区分 | 医療保険の負担区分等 | 通常の月額上限額 | 「高額かつ長期」適用後 |
| 生活保護 | 生活保護受給者等 | 0円 | 0円 (変更なし) |
| 低所得Ⅰ | 市民税非課税(年収約80万円以下など) | 2,500円 | 2,500円 (変更なし) |
| 低所得Ⅱ | 市民税非課税(上記以外) | 5,000円 | 5,000円 (変更なし) |
| 一般所得Ⅰ | 市民税課税(所得割14万円未満) | 10,000円 | 5,000円 |
| 一般所得Ⅱ | 市民税課税(所得割14万円以上25.1万円未満) | 20,000円 | 10,000円 |
| 上位所得 | 市民税課税(所得割25.1万円以上) | 30,000円 | 20,000円 |
※生活保護・低所得(非課税)世帯の方の減額はありません。
「軽症高額」との混同には注意
「高額かつ長期」の内容で最も誤解しやすいのが、受給者証の新規・更新の交付要件である「軽症高額」との混同です。どちらも名前に「高額」とつくため、同じものだと思ってしまいがちですが、その役割や目的は異なります。
一言で言えば、軽症高額は「受給者証の交付を受けるために必要な基準」であり、今回ご紹介している高額かつ長期は「すでに交付されている受給者証での医療費負担分をさらに軽減するための制度」という違いです。
それぞれの違いを下の表にまとめました。
| 項目 | 軽症高額 | 高額かつ長期(優遇措置) |
| 対象となる人 | 指定難病と診断されたが、症状が重症度分類を満たさない人 | すでに指定難病の受給者証を交付されている人 |
| 目的・役割 | 医療費の助成(受給者証の交付)を受けるための基準 | 受給者証の毎月の自己負担上限額をさらに減額するための制度 |
| 算定の基準 | 申請日の属する月から過去12ヶ月以内に、総医療費(10割)が33,330円を超える月が「年間3回以上」あること | 申請日の属する月から過去12ヶ月以内に、総医療費(10割)が50,000円を超える月が「年間6回以上」あること |
⚠️ 注意点
そもそも受給者証をまだ持っていない(交付されていない)方は、「高額かつ長期」の申請を行うことはできません。まずは「重症度分類」または「軽症高額」の基準を満たし、審査で承認されて受給者証の交付を受ける必要があります。
申請には「自己負担上限額管理票」等の証明が必要
「高額かつ長期」の要件を満たした場合、自動的に上限額が下がるわけではありません。お住まいの市区町村などの担当窓口で申請を行う必要があります。
この申請の際に、過去12ヶ月以内に基準(10割で5万円超が6回)を満たしていることを証明するため、医療機関で記入してもらう「自己負担上限額管理票」のコピーや領収書などが必要になりますので、管轄する保健福祉事務所等へお問い合わせください。
なお、医療機関を受診の際は必ず上限額管理票を持参し、医療費総額(10割分)が正しく記載されているか毎回確認しておくことが大切です。
もしも高額かつ長期の要件に該当するかもと思われた方は、一度これまでの上限額管理票の記録を見直し、担当窓口へ問い合わせしてみましょう。




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