2015年に施行された難病法により、新たに医療費助成の対象となる疾患を「指定難病」と呼ぶようになりました。
指定難病は個々の疾病ごとに診断基準が設けられており、医師から基準を満たしていると判断されると指定難病と診断されます。
診断を受けた後、病状が一定程度以上の「重症度分類」、あるいは高額な医療費を支払っている「軽症高額」の条件に該当していると、申請~審査を経て医療費助成の対象と認定される場合があります。
認定されると特定医療費(指定難病)受給者証(以下:受給者証)が交付されます。
受給者証を指定医療機関で提示すれば、認定された指定難病の治療のみにかかる自己負担分が助成対象となります。収入などに応じて毎月の自己負担上限額が決められ、医療費が上限額に達した場合、同月内においてはそれ以後の費用徴収がなくなります。
また、保健割合が3割負担の方は2割に引き下げられます(1割負担の方はそのままです)。患者の自己負担を軽減することにより、難治で長期におよぶ治療に対して費用面での継続的な支援を目的としています。
「難病」か「指定難病」かによっても違いがある
ここで出てきた指定難病という言葉の他に、従前から一般的に広く認識されている「難病」という言葉もあります。広義的には、どちらも治療が難しく、治療薬もなく、長期の治療が必要で、稀な病気を総称する言葉に変わりはありません。
しかし医療費の助成制度に関しては、難病か・指定難病か、自分がどちらに該当するかによって医療費助成の対象にも関わってくる重要な部分でもあります。
難病と指定難病の定義の違いについてはこちらをご参照ください。

そこで今回は、受給者証を交付されるために必要な条件とはどのようなものかについて、さらに詳しく見ていきましょう。

指定難病=受給者証の交付ではない
受給者証の交付を受ける場合、まずは原則的にご自身の病気が難病法による「指定難病」であると「難病指定医」から診断された者(診断基準を満たした者)が交付の対象となります。
診断はどの医師でもできるわけではなく、診断などに5年以上の経験があって専門医の資格を持ち、必要な研修を修了した医師が難病指定医の資格を有することができます。
ここで勘違いをしてはならないことは、医師から指定難病との診断を受けたからとはいえ、申請をすれば必ずしも受給者証が交付されるわけではないことです。
前述したように、交付の要件として重症度分類または高額な医療の継続が必要な人のどちらかに該当する必要があります。この2つの要件については以下の審査基準をご参考ください。
◎審査(都道府県・指定都市)
都道府県・指定都市は
(1)病状の程度が認定基準に該当するとき、または、(2)認定基準に該当しないが高額な医療の継続が必要な人
(軽症高額該当:申請月以前の12か月以内に、その治療に要した医療費総額が33,330円を超える月が3回以上ある場合)と認める場合に支給認定を行います。
受給者証交付要件のまとめ
- 難病指定医によって指定難病であると診断を受けている
- 重症度分類または軽症高額に該当している
- 受給者証の申請をする
- 審査・認定を経て受給者証が交付される
受給者証の交付は、一般的な「難病」といわれる病気ではなく、難病法で定められた「指定難病」と診断されたことを前提としています。
診断の際は、一般の医師ではなく難病指定医の資格を有する医師が指定難病の新規診断を行うとされています。難病指定医とは、診断または治療に5年以上の経験があり、専門医の資格を有して研修を修了した医師です。
指定難病であるとの診断を受け、さらに重症度分類または軽症高額に該当していた場合、医療費助成制度の支給申請をします。申請後、各都道府県・指定都市にて行われる審査によって、支給認定か不認定かの判断がくだされます。
審査結果が出るまで約3か月ほどかかりますので、あせらずに結果を待ちましょう。支給認定されると受給者証が交付され、不認定の場合は不認定通知書が送付されます。

病気治療にかかる医療費は、長期になればなるほど経済的負担が増し、家計にも重くのしかかってくることはいうまでもありません。
もし国の医療費助成制度を活用したいとお考えの方は、まずはご自身が抱える病気が医療費助成制度の支給要件に該当するのかどうかを医師とよく相談し、該当する可能性がある場合には申請を検討してみましょう。
なお、申請に関して一部参考になるかと思いますので、私のブログで紹介した受給者証の更新の記事を下に貼り付けておきますのでご覧ください。




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