追加されてきた「指定難病」の数
2015年に「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が施行され、新たな難病医療費助成制度が始まりました。
この法律により、医療費の公費負担が制度化されただけでなく、難病の発症の機構や診断および治療方法に関する調査研究を推進し、療養生活の環境整備事業も行われることとなりました。難病患者の医療費負担軽減と、より多くの疾患に対する公平な支援を目指す国の難病対策の一環ともいえます。
制度開始時の2015年では、医療費助成の対象疾病(指定難病)として110疾病が指定。その後も追加され続け、2025年4月時点で計348疾病が医療費助成の対象となっています。その推移が下の表です。
指定難病対象疾病数の推移
| 年 度 | 助成対象疾病数 | 追加内容 |
|---|---|---|
| 2015年1月 | 110 | 難病法施行により新制度開始 |
| 2015年7月 | 306 | 196疾病追加(大幅追加) |
| 2017年 | 330 | 24疾病追加 |
| 2018年 | 331 | 1疾病追加 |
| 2019年 | 333 | 2疾病追加 |
| 2021年 | 338 | 5疾病追加 |
| 2024年 | 341 | 3疾病追加 |
| 2025年 | 348 | 7疾病追加 |
2026年4月 疾病数は348のまま
2026年4月時点で、医療費助成の対象となる指定難病は348疾病と、前年からの変更はありませんでした。
指定難病の医療費助成制度は、患者数が少なく治療が難しい疾患に対して、医療費の負担を軽減するために設けられています。毎年、対象疾病の見直しが行われるため話題になることもありますが、今年の新規追加はありませんでした。
背景として、指定難病の追加には、医学的知見の蓄積や診断基準の整備、患者数の把握など、多くのプロセスが必要です。新たな疾病を対象に加えるには一定の基準を満たす必要があり、慎重な検討が求められます。そのため、毎年必ず増えるわけではなく、今年度のように「現状維持」となる年もあることはうなずけます。
また、対象疾病が増えることは、実際にその病気で苦しんでいる患者にとっては恩恵がある反面、医療費助成の財政負担が大きくなるといった点も見過ごせません。
制度の持続性を保つためには、追加だけでなく、基準の見直しや運用の最適化も重要となることはやむをえないことです。今回の現状維持は、制度全体のバランスを見ながら慎重に判断された結果とも言えるのではないでしょうか。

診断基準が見直された?
指定難病数が348疾病で現状維持だった一方で、既存の指定難病のうち84疾患においては診断基準や重症度分類がアップデートされることが厚労省の指定難病検討委員会で検討されています。
アップデートという言葉の意味としては、これまでに収集されたデータをもとに、診断に必要な項目の追加や整理、重症度を判断する指標の調整などを行うと解釈できます。
これに至った経緯としては、令和5年度及び令和6年度に難治性疾患政策研究事業を実施した研究班において、最新の医学的知見を踏まえ、指定難病の診断基準等のアップデートに関する検討に資する情報が整理されたと判断し、情報提供が行われたとのことです。
また、難治性疾患政策研究事業において収集された情報等を踏まえ、個々の疾病ごとに、診断基準及び重症度分類等に最新の医学的知見を反映させるための検討を行った結果、妥当であるとの判断が下されたとも言えます。
たとえ今年度のように指定難病数の増減が無くとも、制度の中身は検討され、適宜調整されているという状況を示しています。
この内容について、厚労省「指定難病(令和8・9年度実施分)に係る検討結果について」のPDFデータが公開されていますので、詳しくは下記リンクからどうぞ。
アップデートで公平な支援を
今後も、指定難病制度は医学の進歩や社会状況に合わせて調整が続くと考えられます。その調整により、場合によっては現在該当している診断基準項目から除外されてしまう対象患者が発生する可能性も否めません。
しかし、制度の見直しは決して患者を排除するためではなく、診断基準が最新の医学的知見に沿って整備されることにより、正確な診断と公平な支援につなげるための更新であると考えられます。
今後も、必要な人が適切に支援を受けられるよう、透明性の高い運用と環境づくりが期待されます。




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